ダイジェスト版を音声で聞くかたはこちら

スポーツや勉強に励む元気なご長男もそろそろ思春期。家族との距離が微妙に気になる年頃です。そんなご家族が挑戦したリノベーションのテーマは「子育て住まい」。リノベーションの主役である子供部屋にもさまざまな工夫とアイデアが凝らされました。

今回は、のびのび成長する子供をそっと見守る母親の思いがつまったグッドリノベーションストーリーです。

すくすくと成長する子供のために
子供部屋を作ってあげたい。

森野さんのお宅は三人家族。40代の働き盛りのご夫婦と、小学生4年生のご長男という家族構成です。ご主人は日焼けした肌がたくましいスポーツマンタイプで、「夏はヨット、冬はスキー」と、仕事の合間に大好きなスポーツに挑戦中。腕前も玄人はだしで、一年中日焼けで真っ黒なんだとか。そして、そんなアウトドア派のお父さんを追いかけるように、ご長男も山へ海へと飛び出す活発なスポーツ少年に成長しました。そのお子さんも10歳を過ぎて、小学校高学年。勉強も忙しくなる年頃です。

森野さんご夫婦は、思春期を前にしたお子様のために「そろそろ子供部屋を作ってあげなくちゃ」と、住まい全体を一から見直すフルリノベーションを決心しました。家族全員が意見を出し合い、一喜一憂しながらのにぎやかな家族プロジェクト。約半年かけてできた新たな住まいの出来映えは?と、奥様の顔を見ると、自信たっぷりの笑顔です。それもそのはず、出来上がった住まいは普通の住まいとはひと味違う、アイデアいっぱいのオンリーワン仕様だったのです。

一度目のリノベーションは
「部屋の半分」だけ。

今回のストーリーの舞台は江東区木場。たくさんの堀割や運河が縦横に走る「水の街」としてご存じの方も多いのではないでしょうか。これまで「転勤の度に社宅を転々とする生活だった」とおっしゃる森野さんご夫婦がこの地に引っ越してきたのは12年ほど前のことでした。

「もともとよく知ってる町だったの。生まれが、隣の門前仲町だったから」とおっしゃる奥様。会社への通勤の便利さもあり、ご夫婦は木場周辺に狙いを絞ってマンションを探されていました。

最初は新築マンションを探したもののちょうどいい広さの物件がなく、その後狙いを中古物件に切り替えて、現在のマンションに出会いました。

「広さが十分にあったのと、マンションのすぐ後ろが川になっていて眺望も良かったので決めました。新築マンションにはそれほどこだわりはなく、環境的な住みやすさを優先しましたね」

しかし購入したマンションは当時で築20年。「間取りが古い」ということもあり、森野さん夫婦は購入と同時に、内装業を営む知人に相談し迷わずリノベーションを決心されました。これが森野さんご夫婦にとって最初のリノベーションを行う機会となったのです。

同じマンションで、
二度目のリノベーションを決意。

まもなくお子様が生まれると、生活は子育てを中心に回りだします。すくすくと成長されたご長男は10歳(小学4年生)になりました。背は大きくなり、ものの考え方も大人びてきます。森野さんご夫婦は、新たな住まいの必要性を少しずつ感じはじめていました。

「そろそろ思春期。6年生になるまでには、自分の部屋を作ってあげないと」と奥様。

ご夫婦は、子供部屋のある住まいを求めて再びマンション探しを始めました。「子供の通学圏を変えたくないのでこの周辺に絞って探しました。ところが東京オリンピックの影響なのか、マンション価格がすごく高騰していて、どこもみんな狭くて高いの。新築のタワーマンションもどんどん建っているけど、見に行ったら、間取りも選べず便利とは思えなかった」

思うようなマンションが見つからず、ご夫婦が選んだ選択肢は、なんと「同じマンションで二度目のリノベーション」。しかし、「仕方なく」という思いはありません。

「一度リノベーションしてるから、どういうふうに進めればいいかもわかっていたし、新築マンションを買うよりも、こっちの方が自分たちの思ったとおりの住まいが作れることがわかっていたからね」

こうしてご夫婦は、再びリノベーションに新たな夢と理想を描き始めました。

こだわりはたくさん。しかし、業者の対応は、重く。

こだわりはたくさん。
しかし、業者の対応は、重く。

とはいえ、今回は以前と違い、住まいを全面改装するフルリノベーションです。間取りを一から見直し、できるだけ妥協せずに自分たちの生活にフィットする空間を作るのは、決して簡単なことではありません。

リノベーション会社選びは、おもにご主人が奔走。インターネットでめぼしい会社をリストアップして、さらに何社かに絞り込んで相談に足を運びました。ところが、道のりは順調ではありませんでした。リノベーションの相談に訪れ、森野さんご夫婦が次々と要望を伝えていくうちに、リノベーション会社の対応は徐々に“重たく”なっていったといいます。

「私たちは、ああしたい、こうしたいと率直な要望をいろいろ言うわけですよ。それに対して、リノベーション会社さんは1回はプランを出してくれたとしても、2回、3回となると、“これ以上は手付け金をいただかないと話ができません”となるんですね」

理想の住まいづくりに向けてとことんこだわりたいと思っていた森野さんには、そうした対応が納得いかなかったようです。

「そんな中で唯一、私たちの度重なる要望に耳をかたむけてくれて、柔軟なプランを出してくれたのがセキスイのマルリノさんでした。私たちが思いを伝えると、プランナーさんが、“それならこうしてみたらどうでしょう”とプランを提案してくれる。これはありがたかったです」

リビングを削って、優先したのは
子供の表情が見えること。

「いちばんの要望は『子供の部屋を作りたい』ということ。それから『子供部屋の位置を、リビング横に置いてほしい』と伝えました。子供が自分の部屋に入るのに、リビングを通っていくような間取りにしてほしい、と」。通常のマンションでは、リビングを広く取ることを優先しがちですが、その理由を聞くと、

「男の子って、10才頃からそろそろ思春期で、いろいろ難しいんですね。最近は私と顔を合わせようともしないし、こちらから話しかけても『別に・・・』しか言わない(笑)。それはもう仕方がないので、あんまり干渉しないようにしようと思っているけど、毎日の生活の中で、最低でも顔を見る機会だけはしっかり持っておく必要があると思ったんです。部屋があると子供はそこに閉じこもってしまうことが多くなるけど、子供部屋がリビングの横にあれば、必ず家族の横を通り抜けていくでしょう。顔を見てれば、何を考えてるかだいたいわかるから、あとは部屋の中で何をしててもいいという考え方でした」

普通のリノベーションのようにリビングダイニングを広く取り、子供部屋はプライバシーを優先する、といった間取りでは、学校から帰ってきたお子様が誰とも顔を合わせないまま部屋に直行してしまう。

奥様が望んだのは、子供に干渉しないまでも「必ず顔だけは見ることができる家」「子供の変化に気が付ける家」でした。

リノベーションのきっかけとなった子供部屋は、最初のプランではもうひと回り小さな空間だったようですが、これからの成長を考えてサイズアップをリクエスト。隣り合うキッチンスペースを切りつめて、子供部屋の広さを優先しました。子供部屋の室内は静かで、さらりと居心地がいいのは、リノベーション時に施した断熱の効果によるものでしょうか。近くには幹線道路が走っているにもかかわらず、騒音がほとんど聞こえません。また夏場や冬でも自然な室温が保たれ、エアコンを使用することはあまりないようです。

さらに勉強机から目線を上に上げると、天井にほど近い所に、光と風を取り入れる小窓がひとつ。この小窓を通じてリビングでの会話が聞こえてきます。ご飯時になればお母さんの作る料理のいい匂いも漂ってきそう。

そう、この小窓は、親と子の言葉によらないコミュニケーションを可能にするちょっとしたアイデア。何かと親の目を逃れて過ごしたい年頃のお子様も、このさりげないつながりを喜んでいるといいます。

森野さんは「子供が部屋にこもる時は、何か悪いことをする時」と笑いますが、その部屋はきれいに整頓され、お子様がこの空間をとても大切にしていることが伝わってきます。

ウォークスルークローゼットの
マルチな便利さ。

家族思いのアイデアは他にも見られます。ご夫婦の寝室とリビングダイニングの間に設えたウォークスルークローゼットも、そのひとつ。森野さんの住まいでは、ウォークスルークローゼットと寝室との間にドアを設置しなかったため、寝室、ウォークスルークローゼット、リビングへと一直線に行き来ができるようになっています。しかもウォークスルークローゼットの中には広い窓があり、クローゼット独特の暗さや閉塞感がありません。そして、このウォークスルークローゼットは、玄関からリビングをつなぐ廊下とは別の、二つめの家族の動線になっています。

「この動線ができたことで生活がものすごく便利になりました。例えば朝の出勤・登校時は全員が家じゅうをバタバタ動き回るんですね。私(奥様)も仕事をしているので、三人が同時に行ったり来たりするとぶつかってお互いが邪魔になる。ところがリノベーション後は動線が2つになったので、すれ違うことが少なくなって行き来がラクになりました。家族の行動パターンにもフィットしていて、パジャマに着替えたらそのまま洗濯機に持っていったり、顔を洗ったらその足ですぐ朝ご飯を食べにいったりと、動きがとても自然になりました」

「それから風通しもよくなりましたね。リビングと寝室の窓を同時に開けると、このウォークスルークローゼットを通って風がわっと通る。家中の空気が一気に入れ替わる感じですね。クローゼットに空気がこもらないのもありがたいです」

思い切り遊んだ父と息子が通り抜ける、
もうひとつの動線。

思い切り遊んだ父と息子が
通り抜ける、もうひとつの動線。

 さらに見ただけではわからない、もうひとつの隠れた動線があります。外から帰ってきて玄関に入ると、オープンで広々としたシューズクローゼット。そして何と、シューズクローゼットからバスルームと洗面室へ直行できるようになっていました。

「うちは主人も息子もアウトドアのスポーツが大好きなんですね。ドロドロになって帰ってくることも多いし、ヨットとかやっているので海で遊ぶことも多い。ところが二人が海から帰ってくると、潮のニオイがものすごく臭いの。それで玄関から入って、廊下を通らずに直接ランドリーやバスルームに行けるような動線を作ってもらったんです。これで廊下が汚れなくてすむ(笑)」

海で思い切り遊んで帰宅したご主人とお子様が、奥様に小言を言われながら、その動線を使って仲良くバスルームに駆け込む姿が目に浮かぶようです。

終始、ご家族のことを思いながらリノベーションを進められたとおっしゃる奥様。しかしその奥様ご自身は、新たな住まいをどのように楽しんでいるのでしょうか。

「新しくなったリビングが快適でいいんです。このリビングが私にとってのお気に入り。主人も『ゆったりしてていいね』って言ってくれるし、意外なことに息子もリビングに居ることが多くなりました。休日になると、主人と子供は遊びに行っちゃうんですけど、私は、子供のお母さんつながりで近所にたくさん友達がいるので、いっしょにワインを飲みながら、ホームパーティーみたいなことをやってます」と、充実した毎日を過ごされているようです。

「なんだかんだ言って、ここが気に入ってるんですね。ご近所とか学校とかも馴れてるし、前後が川なので隣にマンションが建つ心配もないでしょう。春になると川沿いに桜が咲くので、家にいながらお花見ができる。窓を開けていても人目を気にしなくていいし。何度も引越を考えたけど、新築の既成の間取りに妥協して住むなら、少しお金をかけても、この住まいを住みやすくした方がいい」とおっしゃる奥様。

「今回は子育て仕様だったけど、あと10年ちょっとしたら、息子も独立して出ていくと思うし。そしたら、三度目のリノベーションをしてもいいかなあと思っています。こんどは夫婦二人で人生を楽しめるプランもいいかな・・・」とおっしゃる奥様の顔には、できあがった住まいへの満足感と家族への想い、そして自分たちらしく住まいを作れるリノベーションへの自信にあふれていました。