暖かさの質が変わる。
住まいの環境はどう変わったのでしょうか。今回のリノベーションにあたって、赤塚さんは「断熱施工」への要望は特にしていなかったといいます。「南に向いたリビングは冬でも暖かく、結露もなく、新たな断熱施工の必要性を感じなかった」というのが理由です。しかし、よくよく訊いてみれば、寝室にしている北側の部屋の室温は、やはり快適というわけではなかったようです。また、日当たりのいいリビングも、さすがに夏場になると高温になりがちだったといいます。結局、プランナーの提案もあり、スケルトンリノベーションで断熱施工を施すことにしました。
その効果はてきめんでした。
「冬は、夜間エアコンは使わないのだけど、起きた時の寝室の温度が20度前後。ぜんぜん寒くないの。ベッドから出て軽くセーターを羽織るだけで、普通に生活できる」
「エアコンは、リノベーション前から使っていたもので8帖用の小さなものを使っていますが、この一台で今は家中、間に合っています。気になるエアコン独特の風も抑えられて、自然でほっこりとした暖かみが快適ですよね」
さらに、思ってもみなかった断熱効果もありました。
「ひとつは、お風呂に入った時に身体の暖まり方が違うこと。今までは、ただお湯の温度で暖まっていた感じだけど、リノベーション後は、身体の芯から暖まるようになった。お湯が冷めにくいし、部屋全体が魔法瓶の役割を果たしているのがよくわかります」
「もうひとつは、音が静かになったこと。この当たりは、結構クルマの交通量もあり、病院が近いこともあって夜中でもよく救急車が通るんですね。もともと私は下町育ちで、近所が少しにぎやかでも気にならない性格なのですけど、リノベーション後は、そういった音はほとんどしなくなった」
いまでは断熱がいかに快適な暮らしに必要なものか、肌で実感している赤塚さんです。
「何か手伝おうか」
と言わせるキッチン。
リノベーション後の赤塚さん宅を拝見していると、赤塚さんがキッチンという場所をとても大切にし、それゆえに人並み以上に強いこだわりをもっていたことがわかります。明るい陽射しが差し込むリビングダイニングに設けられたオープンキッチンは、広々としていかにも使いやすそう。手元に目隠しを設けないフルフラットな仕様も開放的です。ショールームで一目見て惚れ込んだというシステムキッチンが、明るい室内によくマッチしています。
キッチンにつながるようにダイニングテーブルが置かれ、キッチンから食卓までが一直線につながるレイアウト。赤塚さんは、ここに仲の良いお客様を迎えます。ここは親しいゲストを招いて、料理と食事を同時に楽しめる空間なのです。暮らしを楽しむメインステージと言ってもいいでしょう。
ダイニングの席についたお客様は、もてなしの支度をする赤塚さんと気軽におしゃべりを楽しみながら一足先にワインを開けます。時にはお客様自身が「何か手伝おうか」と気軽にキッチンに立ったり、勝手にクローゼットを開けて食器を並べるのを手伝ったりするといいます。それは、今までの、調理スペースが狭く独立したキッチンルームではできなかったことです。
キッチンの後ろにキッチンクローゼットを設けたのも赤塚さんのこだわりのひとつ。収納力に余裕があるせいで、食器類が余裕で収まるといいます。
「以前は収納スペースが限られているから、いろんな食器を一箇所にぎゅうぎゅうに重ねて入れて、下の食器が取りにくかった。食器取り出すのが面倒になると毎日同じお皿で食事をする。もちろんそれでも生活はできるけれど、収納にゆとりがあると、今日はこのお皿にしようとか、この料理にはこのお皿が合うなって食事の雰囲気を演出する楽しみができる。こういうのが生活のゆとりなんじゃないかなって思う」
いつかそのうち、
はもったいないよ。
暮らしてみて、暮らしやすさがわかる。そして生活が便利になることで、暮らしをさらに楽しむゆとりが生まれる。リノベーションの世界に出会ったことから、赤塚さんの生活は、それまでとまったく違うものになりました。かつての自分のように「いつかそのうちに・・・」と思っている人がいたら、「それはもったいないこと」と赤塚さんは言います。
赤塚さんの、自然体でいながら、ワクワクするような暮らしは今日も続いている。