老後もここに住み続けたいけど、何をどうすれば安心して快適に暮らせるだろう――50代を目前に、将来への不安から始まった単身リノベーション。待っていたのは、すべてが思い通りの新しい暮らしでした。

永住するなら修繕しなきゃ。
分かってはいるけど……

永住するなら修繕しなきゃ。分かってはいるけど……

「おひとりさま」という言葉が流行語大賞にノミネートされたのは2005年のこと。一昔前なら単身女性の持ち家マンションがめずらしがられることもありましたが、それも今や過去の話。精神的にも経済的にも自立した女性の選択肢として、「女性おひとりさまマンションリノベーション」が最近とても増えています。

今回のグッドリノベーションストーリーに登場する鈴村様も、一人住まいのマンションをリノベーションした女性の一人。12年ほど前、結婚と同時に中古マンションを購入し、離婚後も同じ部屋に単身で暮らしていました。住環境が気に入っていたので、永住することは決定済み。ただ、水まわりの老朽化が気になっており、「この先20年、30年と住み続けるならそろそろリフォームかな?」とぼんやり考えていました。

そんなある日、たまたまポストに入っていた他社のチラシを見て、鈴村様はリノベーションセミナーに参加します。そこで知ったのは、たとえ一人暮らしの水まわりリフォームだとしても、週末パッと終わるものではないということ。老朽化が進むたびにリフォームするより、一気に全部やったほうがいいかもしれない……。そうして、フルリノベーションを前提に依頼先を探し始めました。

しかし。その時点で鈴村様の心を占めていたのは「やらなきゃいけないけど、面倒くさい」という感情。

実はこれまで、衣食住の中でも「住」にはとりわけ興味が薄く、それより友人たちと飲みに行く方がずっと好き。家に帰ってもベッドにたどり着く前にバタッ……。そんな暮らしをしていたので、いざフルリノベーションで自由な間取りにできると言われても、まるでイメージが湧かなかったのです。

思いがけない提案をきっかけに、
イメージが膨らみ始めた。

思いがけない提案をきっかけに、イメージが膨らみ始めた。

そんな鈴村様の心を動かしたのが、「住み心地を改善する」というマルリノの提案でした。他社の話をいくら聞いても、見た目やコストの話ばかりでどうもピンとこない。そんな中、“住み心地”という視点は新鮮だったと言います。また、最初の打ち合わせで洗濯物を部屋干ししていると伝えたら、マルリノからは「それならランドリールームをつくりましょう」との提案が。「そんなこともできるんだ!」と、一気に視野が広がりました。

「このマンションを買ったときは全部親任せ。知識もなく性格も優柔不断なので、“自由に”が一番困っちゃう。でもランドリールームの話を聞いてから少しずつイメージが湧いてきて、試しに要望を紙に書き出してみたんです。そうしたら、思った以上にいろいろ出てきて……」

例えば当時の間取りだと、キッチンから大好きなテレビが見えない。使っていない部屋があるくらいスペースは余っているのに、なぜかモノが片付かない。冬は室内でもダウンを着こむほど寒いときもあるし、自分の生活音が下の人の迷惑になっていないかも心配。そういえばコンセントの配置も微妙で、コード類がどうしてもきれいに隠せない……。大小さまざまな生活ストレスに、次々と気づいていきました。

考えたこともなかった「生活動線」が、
リノベーションの要に。

その中でも特に大きな気づきだったのが、「実は動線がすごく不便かも?!」ということ。このマンションに移る前は実家暮らしだったという鈴村様。いろいろな間取りを経験したことがなかったので、今の家の動線が便利か不便かなんて、意識したことすらなかったのです。しかし改めて考えてみると、以前の間取りは空間が細かく仕切られていたため、何をするにも部屋の出入りが必要。ちょっとした生活の動作のために、遠回りばかりしていました。

そこで今回のリノベーションでは、住まいの動線を重視し、行ったり来たりの動作ロスが少ない“回遊型”で間取りを設計し直すことに。水まわり、LDK、寝室のおおまかな配置は活かしつつ、各エリアがスムーズにつながるようつくり変えました。

玄関からぐるりと一周できるスムーズ動線の鈴村様邸、それでは早速拝見していきましょう。

リノベーション before
流れるようにリビングへ。
そこで待つのは優雅なひとり時間。