希望エリアで新築物件が見つからず、中古マンションリノベーションにたどり着いた都内在住の若いご夫婦。暮らしやすさを追求しながらも、ところどころに余白を残す。その工夫とバランス感覚が、コロナ禍の変化にも柔軟に対応する住まいを生み出しました。

コロナ禍で増えた在宅時間。
快適さと距離感に支えられて。

機能面のこだわり
元田様邸の実例

機能面のこだわりといえば、もちろん忘れてならないのが快適な住まいを実現する断熱性能。そう、ご夫妻が自分たちのニーズの一番にあげていた点です。開口部が多く、室内のドアも少ない元田邸。壁の断熱はもちろん、内窓もプラスし、寒さ・暑さ・音に万全の対策を取りました。

「実は断熱工事が完了する2,3週間前に入居したので、しばらくは断熱工事が完了していない状態で暮らしていました。それが3月のことでしたが、北側の部屋で仕事をしていると寒さを感じる様態でした。でも、全ての断熱工事を終えたら全然違いましたね。今は夏になりましたが、出かける1時間前にエアコンを切っても部屋はまだ涼しい。これから冬の結露がどうなるか、楽しみですね」

エアコンを切っても快適に
元田様邸の実例

窓を閉めれば、近くの公園の虫の声や雨音も聞こえなくなるそう。たくさんの窓から外光をたっぷり取り入れる一方で、静寂が欲しいときにはしっかり外を遮断できる。こうした機能性も、長い時間を過ごすうえでは必要なことでしょう。特にwithコロナの時代である今、在宅ワークの増加に伴い、自宅の居心地を重視する人がますます増えています。私たちに必要な快適さのレベルが、もしかしたら以前よりも上がっているのかもしれません。

「今は妻が週の半分程度、私は完全に在宅勤務。だから本当に、リノベーションをした家に引っ越してよかったです。今まではご飯を食べて寝るだけの場所だと思っていましたから」

そう語るご主人。そういえば、お二人はこの家のどこでお仕事をされているのでしょう?

「夫は洋室で、私はそこに机を置いて仕事をしています。もともと、四六時中お互いの気配がわかるより、離れてこもれる場所が欲しいよねって話していたんです」

奥様がそう言って指さしたのは、キッチンの横に設けた家事スペース。一人分のデスクを置くのにぴったりの広さで、ドアこそないものの、LDKから適度に距離を取れる絶妙な空間です。以前の賃貸マンションでは、お二人同時に在宅勤務の日に息苦しさも感じることがあったというご夫妻。今は開放感とプライベートのバランスが取れた新居で、それぞれ自分の仕事に集中できます。

キッチンの横に設けた家事スペース
元田様邸の実例

二人のバランス感覚が、
この家の心地よさを守っていく。

キッチンの横に設けた家事スペース
元田様邸の実例

元田夫妻のリノベーションストーリーを振り返ると、「メリハリ」という言葉が思い浮かびます。入念なシミュレーションで隙のない設計をする一方で、いかようにも使える曖昧さも忘れない。自然の光をふんだんに取り込みつつも、寒さや暑さ、音はしっかり遮断する。開放的な間取りの中にも、一人でこもれる余白を残す……。これまで話にあがった以外にも、白を基調としたインテリアの中にグレーのアクセントウォールを設けたり、もともとあった玄関の大理石タイルを活かしながら、新たにモルタルの土間を足したり、メリハリが活きるポイントを探せばキリがありません。

玄関の大理石タイル
元田様邸の実例

「間取りもインテリアも、あれこれ考えていると全部やってみたくなるんですけど、ぐちゃぐちゃになるのでぐっとこらえて。リセットして考え直したこともありましたね。今まで言ってたことを全部壊しちゃう、みたいな感じで」

そんな大胆な考えの切り替えも、なんともお二人らしいエピソードです。

ご夫妻は最初、こう語りました。この家の“抜け感”が気に入ったのだと。そしてそれは、お二人のメリハリあるバランス感覚によって、さらに心地よいものへと進化しました。「こうだ」と決め切らないこと。こだわっても欲張りすぎないこと。住まいにそうした“抜け”がある限り、変化の激しい今の時代に暮らしがどう変わっても、きっと心地よさは変わらないことでしょう。